8.私の「地・LOHAS」論=一次産業振興論
(1)「地・LOHAS」で、一次産業振興を目指す
[相手のことを考えると、表現は美しくなる]
2008年2月、私はとても心豊かな旅をしました。アメリカ・ロサンゼルスを起点に、地元在住のフリーライターの女性のアテンドで、「地・LOHAS」のコンセプトと合致する企業を7、8ヶ所訪ねたのです。時には飛行機で、時にはアテンドをしてくださった方のエコなプリウスで移動して・・・。
日本でも知られている、北カリフォルニアのバークレーにある、アメリカスローフードの母、アリス・ウォータースさんが経営するレストラン「シェ・パニーズ」の2階カフェでのディナーも体験しました。完全予約制です。細長い店内の奥にオープンキッチンが配置され、丁寧な仕事ぶりが伺えた。ホールスタッフの接客も堅苦しくなくあたたか。開店時間と同時の午後6時に予約したのですが、行列ができるわけでもなく、入口が混雑することもなかった。6時、6時10分、6時15分と、少しずつ予約時間を調整しているのが見て取れ、訪れる人々にゆとりを生み出す気配りがとても素敵でした。やがて30分もすると、テーブルは満席に。全てがぎこちないはずの日本からの旅人が、自然にとけ込めて味わいを楽しめるひとときを提供してくれたのです。
7.「地域団体商標」説明会を受けてみませんか。
下記は、特許庁『「地域ブランド」を「商標登録」しませんか?』
『「地域ブランド」を保護する「地域団体商標制度」について、いつでもどこでも、御説明に伺います。』の箇所のHPアドレスです。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/t_torikumi/t_dantai_syouhyou.htm
6.事業を継続して行くために
一昨年から、東北経済産業局の事業で「地域団体商標」に関わってきました。認定後の経営戦略策定支援、地域団体商標申請を奨励するセミナーの運営の事業です。また、2011年度には全国各地の地域団体商標認定者、農商工連携主体者、JAPAN BRANDなどの取組み者10団体余のヒアリング調査を行いました。範囲は東北、北陸、中部、近畿です。興味を覚えたところに伺ってきました。今回はそこから見えた、さまざまな気づきについてお話します。
5.地域団体商標制度にエントリーしよう
5.地域団体商標制度にエントリーしよう
4月6日付で、「仙台いちご」が、「地域団体商標」の500件目として認定されたとのニュースが報道されました。出願者は全農(全国農業協同組合連合会)。宮城県内の農協が扱うイチゴについて使用されるとのことです。地名と商品名を組合せ、地域ブランドとして登録できる「地域団体商標」は2006年4月に導入され、その第1号は青森県の「たっこにんにく」でした。東北では30件が認定されています。
第一次産業の振興を目的に、地域ブランド化を推進していく手段として、「地域団体商標」認定は、活用に値いします。「地域団体商標」認定ブランドとして全国に認知させ、地域ブランドとして育てていくというストーリーです。
出願人が備えるべき要件は次の通り。
1. 法人であること
2. 事業協同組合等の特別の法律により設立された組合であること。
3. 設立根拠法において構成員資格者の加入の自由が保証されていること。
従って事業協同組合、農業協同組合、漁業協同組合、酒造組合、森林組合等です。
個人、地方自治体、社団法人、財団法人、NPO法人、商工会議所などは認められません。
3.マーケットリサーチとマーケティングリサーチ
最近のこと、受託した「地域団体商標」に関するセミナー事業で、参加者から講師の先生に次の質問がありました。「少子高齢社会が今後ますます進行していきますが、食品市場はどのように変わっていくと予想しますか」と。
さぁ、皆さんはどんなふうに思われますか。
先生は、即座にご自分の洞察を下記のように話されました。
スーパーなどの食品売り場から、いわゆる泥がついた野菜や獲れたての鮮魚など、調理が必要なものが無くなっていくと思いますね。高齢化してくると料理をするのが面倒になる。量も少なくていいから野菜をまとめて買ってもダメにしてしまう。半調理品や、チンしてすぐ食べられる食事、必要なだけ温めればいい冷凍食品などが主流になると思いますね。健康を考えて栄養バランスに配慮している弁当の宅配などももっと需要が増えると思います。
マーケットリサーチというと、アンケート調査やヒアリング調査などがイメージされて予算がないとか、調査をしても活かしきれないなどとの理由で省略され、みんなで意見を出し合って、あるいは発想力のある人が中心になって進めてしまう場合が多いのではないでしょうか。
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2.「アイデンティティ」が独自性を生む
今はない生家、父親・・・。「第一次産業の振興」を目的とするに至った根本には、自分自身のアイデンティティの追求がありました。無から有を生み出すこと、豊かな地域社会をつくっていくこと、それを幼い頃から目の当たりにしてきたことが、“創造”を業とすることにつながりました。
そんなわけで、「アイデンティティ」という言葉が大好きです。英語圏では身分証明書のことを「IDカード」と言い、ぴったりフィットする日本語が無いと言われますが、存在意義、存在証明、自分らしさ、自社らしさ、地域らしさを言います。
新事業開発でも、新商品開発でも、アイデンティティにどれだけ迫れるかが大きなポイントだと思っています。つまり、どれだけ自分らしさを表現できているかです。素材、加工品、ネーミング、パッケージ・・・全部においてです。
最近いいなぁと思ったのは、『「香川県はうどん県」に改名しました。』という香川県の観光戦略の取組み。讃岐うどんの産地という次元から、地域の風土、歴史、食文化、人々のハート、モノ、全部ひっくるめてブランド化を目指す表明であると伝わってきます。
1.企業目的と事業領域
今から4年前、これから10年、私達はどんな役割を果たして行けばよいだろうかと考え、企業目的を「東北の第一次産業の振興」を担うと決めました。「第一次産業」を地域資源として商品やサービスを生み出し、経済を循環させ、ここに住む私達が自信と誇りを持って生きる。そのための役割を担おうと立ち位置を決めたのです。
事業領域は、①地域ブランド開発、②農林水産物&加工品輸出支援、③プランズマーケティングの3つをドメインとしました。
①地域ブランド開発は地域資源を活かし、その豊かさを多くの人々に享受していただくこと。
②は第一次産業の競争力を育む分野、そして③は生活者に支持され続けるため、全経営活動で欠かせない取組みです。
地域が自立しイキイキと生き続けるために、なぜこれらが必要か。
これから12回にわたってお伝えして行こうと思います。
どうぞおつき合いください。